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勝ち負け、白黒では決着のつかない、人の心の深淵。その揺らぎをここまで鮮烈に炙り出せるのは、アンシュル・チョウハンだけだ。
暉峻創三
(映画評論家、大阪アジアン映画祭プログラム・ディレクター)
松浦りょうの凄まじいオーラが、この映画を覆っている。加害者として長期に及ぶ罪悪感と苦悩、やりきれない境遇を凝縮し、体現してみせる力にもはや言葉は要らない。大人たちの諍いが軽々しく思えるほどである。
本木克英(映画監督)
少年犯罪の加害、被害、そして司法のゆがみを、両親の慟哭を通してむごたらしいまでに伝える良作だ。
石井光太(作家、ルポライター)
これは加害者を赦す物語ではない。 罪に囚われた全ての人へ与えられる”赦し”の物語だ。 変わらない過去にどう向き合うのか。 憎しみは、愛より深いのだろうか。 本当に大切なものと向き合えたとき、私たちは赦される。
春名風花(俳優)
人が人を赦すこと、その実相、そのやっかいさに安易な答えを与えずに、人人人それぞれの心と対峙して、情緒を退けみつめる監督の眼差しは、ふやけたやさしさばかりの日本の今、きな臭い世界の今をも刺し貫いて静かに苛烈だ。
川口敦子(映画評論家)
被害者、加害者、被害家族、加害家族、それらは法の判断の下に付けられたラベルであり、その人たちには名前があり、愛する人がいて、それぞれの人生があるのだ。そんな当たり前のことを私たちは報道の情報だけを消費し、他人事なのだと見ていると忘れてしまう。この映画はその重要な要素を目の前に突きつけてくれた。
伊藤詩織(映像ジャーナリスト)
観る前は、私は罪人である彼女を赦す側に立ち、本当に赦せるかどうかを試されるのだと思っていた。見終わった後、どうか私を赦してくださいと泣いていた。
岩井志麻子(作家)
この映画は『赦し』を乞う物語でも与える物語でもなく、 自分を赦せない人間たちの苦しみと悲しみを徹底的に描いた作品だ。 登場人物たちが果たして『赦し』を得たのかどうか、それは彼らが最後に 見せる強烈な視線から我々が読みとるしかない。 ひとりでも多くの人にこの類まれな傑作が届くことを切に願う。
佐藤佐吉(映画監督、脚本家、俳優)
苦しくなる映画。 とにかくリアルで、 ただ同情するように出来ていなくて考えさせられる展開。 後半は胸に突き刺さる。 役者の演技が真に迫る
品川ヒロシ(映画監督)
赦せない、赦されたい、忘れたい、忘れられない… 声にならない無数の叫びが渦巻いていた。 たったひとりで向き合うしかないという孤独も、それを乗り越える強さも、 私たちの中にあるとこの映画は教えてくれる。
杉野希妃(俳優、映画監督、プロデューサー)
辛い出来事にあったとき、 人は原因を探し求めずにはいられない。 何を赦すのか? 何のために赦すのか? 法はその助けになるだろうか?
木村草太(法学者)
誰かの立場に立つ「共感」、その「想像」という人間性を守るための力を我々は失ってはいないか?映画はそれを問いかけてくる。
古舘寛治(俳優)
客観を追求した映像が圧巻だった 事件の骨格を剥き出しにした 見るものの感情さえ奪う松浦りょうの演技が深淵を見せた 主観だけでは「罪と罰」には向き合えない 問われたのは私だ
堀 潤(ジャーナリスト)
善と悪、愛と憎しみ。人間はそんな二元論では語れない。だから苦しい。でもだからすばらしい。感情が渦巻いてしばらく立ち上がれなくなった。
香山リカ(精神科医)
被害者らしさ加害者らしさを求めるおかしな社会に疑問を投げかける、生きる人を映した映画
髙橋知典(レイ法律事務所弁護士)
未成熟な存在が背負うには重すぎる、罪への責任、世論、被害者遺族の思い。 その先にある一縷の望みと力強さを感じさせる映画でした。
横山智実(弁護士)
※敬称略/順不同